奇ringエッセンス2

ご招待ありがとうございます。

ATM婚指向?それ本当? データの見方を考える

だいぶんタイミング逃してるけど、書きます。

今回は触りだけですが、言いたいことを先に書くと以下になります。

 

・自説に都合の良いデータだけを見ていると「大きな構造」を見逃す。

・データの解釈が違うと、処方箋が違う。

・他人の行動は変えられないけど、自分の行動は変えられる。

 

ちなみにトリガーは↓の記事です。

「ATMにされたくない」婚活市場から撤退する男性たち

https://note.mu/sumomodane/n/n8b4410951f81

  

今回とりあげるのは↓のグラフです。

https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/12875688/picture_pc_fee2d99b0414c5ba82d1c24d273a471d.jpg

 

↑のグラフを見て、記事の著者は以下のように言及しています。

 結婚のメリットには大きく「心理的メリット」「経済的メリット」がある。「心理的メリット」とはパートナーと親密な関係であることによる心理的な満足感や安心感などであり、「経済的メリット」とは結婚相手との共同生活により労力、モノ、カネなどを補完しあえることである。

 近年、女性において「心理的メリット」よりも「経済的メリット」を求める傾向が強まっている。「出生動向基本調査・独身者調査」の「結婚の利点だと思うもの」の時系列推移をみると「精神的な安らぎの場が得られる」「現在愛情を感じている人と暮らせる」が低くなり(男女)「経済的に余裕がもてる」が高くなっている(女性のみ)。

このように女性が婚活において「経済的メリット」を求める傾向を「ATM婚志向」と名付けたい。婚活が着々と浸透する中、街コン、スマホアプリなど様々な婚活サービスが登場した。「ATM婚志向」の女性にとっては安価かつ手軽に男性を探せる環境になったのである。

さて、この解釈は正しいのでしょうか?

データの見方に問題はないのでしょうか?

このあたりを見ていきたいと思います。

 

データを丁寧に見ている、、、本当?

 まず、最大の問題だと思うのが、一番左の「自分の子供や家族を持てる」に言及していないことです。この項目は、圧倒的に数字を持っており(2015年度は女性の約半数)、特に女性に関しては伸び率も際立っています。このグラフを見るうえで、「自分の子供や家族を持てる」に言及しないのはありえないでしょう。

 さて、元記事では「結婚のメリットには大きく「心理的メリット」「経済的メリット」がある。」と分類した上で、「心理的メリット」の減少と「経済的メリット」の増加を合わせて、女性のATM婚指向としていますが、最大勢力の「自分の子供や家族を持てる」は「心理的メリット」ではないのでしょうか? そうなると「女性は結婚に求めるものは、心理的メリットとより経済的メリットだ」という論調そのものがあやしくなってきます。 

データは互いに関連する

 これに対して、「子育てや家庭の維持にはお金が必要!だから『自分の子供や家族を持てる』という項目は『経済的メリット』だ!!」という反論が想定されます。この反論は、もう一つの問題点を浮き彫りにします。いいかえると「経済的に余裕が持てる」という回答の上昇は、本当に女性の経済メリット指向を表しているのかという疑問です。

 「子供が欲しいが、子育てには経済的な余裕が必要」という思想(それ自体はよくあるものです)があれば、当然「経済的に余裕が持てる」の項目は上に振れます。全部ではないにしても各項目「子供をもつかどうか」で随分と見方が変わってくるのではないでしょうか。少なくとも、各々の項目を雑に「経済的メリット」と「心理的メリット」を区分けして、ATM指向と名付けるのは違うかなと思います。「子供をもった時に難儀したくない」という心理的にはより大きな構造を見逃している(もしくは意図的に無視している)のではないでしょうか。

問題の見方が変わる

 さて、「結婚の判断には裏に『子供を持つ』という変数があるのでは?」という仮説に触れたところで、元記事とは違う方向の解決策を1つ出してみます。

 それは、「子供に関する費用を政府が全部出す」です。ナチスの多産奨励とか、本邦の子供手当とか洋の東西を問わず、その手の施策は多数ありますが、「子供を持ちたいが、子育てにお金がかかる」→「年収の低い男性との結婚に二の足を踏む」というマイナス影響は減らせるでしょう。なので「女性のATM婚指向」を苦々しく思っている諸氏は、子供への支出を手厚くしようとしている政党に投票するとよいでしょう。「そんなことしたら貧乏イケメンが有利になる」とか、問題の根本が女性の設定する経済的なハードルでないことを今更暴露するようなコメントはやめろ。

そして唐突に婚活雑感を記して終わる

 まあ元記事みたいに「女性は高望みをやめろ!」って土井たか子ばりに声を張り上げたくなる気持ちもわからんではないのですが、そもそも、あれこれそれらしいデータを寄せ集めてきて、自説をもっともらしくみせるためだけに使い、考察もなくぶつけても、他人さまの行動をおいそれと変えられるはずもないのですよね。

 現実に、男も女も「お前何故その選択をした」ということは星の数ほどあるわけなのですが、結婚って色んな変数がありすぎて、相当勢いがつかないと決まらないので、自分の偏りを意識して突っ込むぐらいでちょうどいいのかなと思います。

 大体みんな婚活始めるの遅いんですよ。「3〇歳とかもうおっさん(おばさん)やで」というのと「結婚するなら〇歳以下がいい」というのを一つの飲み会の中で聞く地獄を考えてみてくださいよ。男も女も両方ありますよ。「お前まず自分の年を考えろ」とは長年の友達には言えず、ぐっと飲みこむ感じ。それに比べると早く結婚して、間違いとわかったら直ぐに離婚するぐらいがちょうどいいと最近思います。尊敬している人も結構離婚→再婚の人多いし。みんな映画「天気の子」を見て、選択の間違いを恐れない心を持とう。(でも選択の間違いの中でも不倫は最悪の時間の浪費だからそれはやめておいたほうがいい)

 

おしまい。